主人のおばあちゃんは遺言で、香典は受け取らないことを明言していました。他にも葬儀会場を自分で決めており、皆おばあちゃんの遺言通りにするつもりでいました。
全ての家族親戚、友人知人におばあちゃんが亡くなった事と、香典お断りの件を伝えましたが、葬儀当日は香典の嵐でした。お断りした旨を伝えても「内緒で取っといて」「うちのだけ取っといて」「おばあちゃんは良い人だから受け取っても怒ることはない」等と、それぞれ言い訳をして、引く気配がありません。
孫の嫁である私が言っても押しきられるので、おばあちゃんの娘に当たる、主人の叔母を呼びに行きました。
状況を説明すると、「やっぱりね、あなたでは大変だから私が行くわ」と言ってくれて一安心です。
申し訳ないと思いつつ、主人の叔母に対応してもらいましたが、叔母でも押しきられていました。強引に机に置いたまま会場に入る人、ポケットに突っ込んでくる人と、なかなかおばあちゃんの遺言通りにはいきません。挙げ句の果てには、わざわざ物品を買いに行って香典代わりにしてくれと言う人も現れました。
やはり遺言とは言え、イレギュラーな対応は難しかったです。
途中でおばあちゃんの息子の嫁である、私の義母が現れ、香典のことを聞かれました。私は正直に言ったのですが、義母は激怒です。
義母の言い分としては、遺言で断っているのにどうしてもと持って来たなら、ポケットに入れてしまえとの事ですが、私にはとても出来ません。それを平気で出来る人がいるのだろうかと、そちらの方が不思議です。義母は香典はポケットで、物品だけおばあちゃんの娘に渡すよう言いますが、絶対に無理です。そんな指示をされているとおばあちゃんの娘に言うことも出来ないし、主人は別で弔問客の相手をしており、本当に心苦しかったです。
途中、主人が様子見に来たので、義母の言動を含め、香典の件を話しました。それを聞いた主人は激怒です。「よくそんなこと言うな。信じられん。」と言って、なんと義母の所に直行してしまいました。イヤな予感は的中し、義母が爆発です。義母は息子である主人に言われたのは相当イヤだったみたいで、「そんなこと正直に言うバカがいるか」と怒られました。3人でイヤな空気が漂い、困っているとおばあちゃんの娘が再び登場です。「大丈夫?」と優しく聞いてくれましたが、義母がいるので恐ろしくて何も言えませんでした。その義母は「香典持ってくる人がたくさんいて、この子が困ってるからここにいるのよ」と軽く言っていました。
おばあちゃんの娘は「また大変な思いをさせてごめんね。私はずっと居られないから、男の人連れてくるわ」と言って、おばあちゃんの息子、つまり主人の叔父を連れてきました。叔父は穏やかに対応してくれ、物品だけもらって香典は絶対的に返しており、内心、助かったと感じました。
義母の「香典はポケット」発言は私と主人しか知りませんが、その後会う度に言われます。「あの時、香典もらっておけば何万あったのに。旅行も行けたし、ホテルのディナーも行けただろうに。断ってるのに勝手に持ってくるのは何してもいいんだから」と何度も言うので、その度に「申し訳ありません」と謝っています。とってもおかしな話ですが、嫁の立場である私には、ここまでが限界です。何かしら良い方法があったのかもしれませんが、自分の技量不足は認めています。
おばあちゃんの遺言が、まさかこんな展開になるとは予想も出来ませんでした。おばあちゃんは皆の事を思い、香典お断りにしたのだと思いますが、香典をポケットに入れようとしているのを見たらどんな思いになるか、成仏してくれるのか不安でした。しかし悪い事は起きていないので、おばあちゃんは許してくれたのだと思います。